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第六十二話 充希への恨み(side:彩寧)

Author: 柳アトム
last update Last Updated: 2025-09-30 03:36:41
 幸恵さちえ部長に突き飛ばされた私は、その場に倒れ込む。

 ───相変わらずの馬鹿力で本当に忌々しい。加減というものを知らないのかしら、この女は。

 私は憎らしく幸恵部長を睨みつける。

 充希みつきは離婚届にサインをしたのよ。自らの意志で宗司そうじ先輩の妻の座を放棄したのよ。それなのに何故───何故、みんな充希を庇い、充希を助けるの?

 ───幸恵部長もそう。

 ───宗司先輩の秘書もそう。

 ───受付の女もそう。

 皆、どうして充希の味方をするの?

 正論を述べ、正しいことをしているのは私よ。私こそが正義なのよ。

 それなのに何故───。

 充希と幸恵部長は去り、警備員も持ち場に戻った。

 私は一人、社長室に取り残される。

 ───誰も私を気にかけてくれない。

 ───誰も私に手を差し伸べてくれない。

 突き飛ばされ、倒れた私に見向きもしないで、皆、私の前からいなくなる。

 ───どうして……。

 でも自己憐憫じこれんびんに浸ってなんかいられない。沈んだ気持ちでいたって何も解決しない。

 これまでもそうだった。

 私は誰からも愛されず、誰の助けも得られなかった。

 だから自分で解決するしかない。自分一人の力で生きていくしかない。

 そして周囲を───私を無視し、私の前を素通りしていった者達を見返してやるんだ。

 目に涙を浮かべていた私は、あやうく零れそうになった涙を拭い、立ち上がる。

 泣いたりなんかしない。私が泣いたって、誰も助けたりしてくれない。誰も優しい言葉をかけてくれたりなんかしない。誰も私の涙を拭ってなんてくれない。私は自分で自分を愛し、自分一人で生きていくしかないのだから。

 自らを取り戻した私は社長室を出る。

 するとすぐに声をかけられた。

「どうした? 何かあったのか?」

 私は少し驚きつつ、声の相手を振り返る。

「あ、あなたは───」

 私は声の主が誰であるかがわかり、さらに驚いた。

「あなたは、杵島 巧三きじま こうぞう会長───!」

 それは宗司先輩のお父様で、杵島グループの杵島 巧三きじま こうぞう会長だった。

 因みに今は、入院中の宗司先輩の代わりに杵島グループの社長として会社の運営を担っている。

 とはいっても、宗司先輩が入院する前───宗司先輩が社長
柳アトム

------ 【登場人物】 ------ ▼杵島 充希(きじま みつき)/旧姓:大和田 充希  宗司と三年という期間限定の偽装結婚をするが双子を妊娠。  これを機に、偽装結婚を解消し、本当の夫婦になることを宗司に提案しようとするが、妊娠が判明したその日に、宗司から離婚届を突きつけられる。 ▼杵島 宗司(きじま そうじ)  充希の夫。充希とは幼馴染で、同じ中高一貫校に通った同級生。  充希が妊娠したことを知らずに離婚届を突きつける。 ▼藤堂 幸恵(とうどう さちえ)  充希の担当産婦人科医で親友。  充希、宗司と同じ中高一貫校の同級生で剣道部の部長。 ▼篠原 彩寧(しのはら あやね)/大和田 彩寧  充希の異母姉妹の妹。  中高一貫校の先輩である宗司が好きで、執着している。 ▼大和田 毅(おおわだ つよし)  充希の父。  大和田グループの社長。 ▼篠原 真紗代(しのはら まさよ)/大和田 真紗代  彩寧の母。大和田 毅の元妻。  自らの浮気が原因で大和田家を去る。 ▼忽那 碧(くつな みどり)  充希の産みの母。充希の父親の大和田 毅とは相思相愛。  総合病院の救命救急士。 ▼種村 崚佑(たねむら ゆうすけ)  幸恵の医大時代の同級生で、産婦人科医。  面倒見が良く、何かにつけて充希を気にかける。 ▼宗司の秘書  宗司が信頼する優秀な秘書。  充希が宗司の会社を訪れた際、充希が宗司の妻であることをわかってくれる。 ▼杵島 巧三(きじま こうぞう)  宗司の父で、杵島グループの会長。  宗司が入院中は代わりに会社の運営を行う。

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     幸恵部長に突き飛ばされた私は、その場に倒れ込む。 ───相変わらずの馬鹿力で本当に忌々しい。加減というものを知らないのかしら、この女は。 私は憎らしく幸恵部長を睨みつける。 充希は離婚届にサインをしたのよ。自らの意志で宗司先輩の妻の座を放棄したのよ。それなのに何故───何故、みんな充希を庇い、充希を助けるの? ───幸恵部長もそう。  ───宗司先輩の秘書もそう。  ───受付の女もそう。 皆、どうして充希の味方をするの?  正論を述べ、正しいことをしているのは私よ。私こそが正義なのよ。  それなのに何故───。 充希と幸恵部長は去り、警備員も持ち場に戻った。  私は一人、社長室に取り残される。 ───誰も私を気にかけてくれない。  ───誰も私に手を差し伸べてくれない。 突き飛ばされ、倒れた私に見向きもしないで、皆、私の前からいなくなる。 ───どうして……。 でも自己憐憫に浸ってなんかいられない。沈んだ気持ちでいたって何も解決しない。  これまでもそうだった。  私は誰からも愛されず、誰の助けも得られなかった。  だから自分で解決するしかない。自分一人の力で生きていくしかない。  そして周囲を───私を無視し、私の前を素通りしていった者達を見返してやるんだ。 目に涙を浮かべていた私は、あやうく零れそうになった涙を拭い、立ち上がる。 泣いたりなんかしない。私が泣いたって、誰も助けたりしてくれない。誰も優しい言葉をかけてくれたりなんかしない。誰も私の涙を拭ってなんてくれない。私は自分で自分を愛し、自分一人で生きていくしかないのだから。 自らを取り戻した私は社長室を出る。 するとすぐに声をかけられた。「どうした? 何かあったのか?」 私は少し驚きつつ、声の相手を振り返る。「あ、あなたは───」 私は声の主が誰であるかがわかり、さらに驚いた。「あなたは、杵島 巧三会長───!」 それは宗司先輩のお父様で、杵島グループの杵島 巧三会長だった。  因みに今は、入院中の宗司先輩の代わりに杵島グループの社長として会社の運営を担っている。  とはいっても、宗司先輩が入院する前───宗司先輩が社長

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